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生徒と教員間には○○のズレがある
生徒は先生を「先生」として尊敬まではいかなくても目上の人として見てくれているはずなのではないかと教員側は思っているかもしれません。
小学生までは単純に先生と生徒の図式が成り立ちます。
しかし、中高校生は先生を一人の「おとな」として直感的かつ冷静に見ています。
従って、先生と生徒の関係性だけで信頼関係が築けるわけではありません。
でも、教員は生徒のためを思って日々奮闘しているのだから信頼してもらえるだろう、信頼すべきだと思いがちです。
両者間に信頼関係があるという前提で指導していたとしたら、ボタンの掛け違いでありそこにズレが生じているのです。
コーチングが機能するための絶対条件は「信頼関係」です。
学校現場においても生徒との信頼関係の基盤がなければ「指導」は砂上の楼閣。
どんなに正しくても残念ながら効果は期待できません。
効果どころか逆効果になります。
怒る・叱る・指導の決定的なちがいとは
「怒る」・「叱る」・「指導する」
これら3つの言葉について考えてみてください。
そして、それぞれを自分なりに定義してみましょう。
私の定義をご紹介します。
怒る:不満や不快であることを相手にわからせる
叱る:相手の良くない点を指摘して改善を求める
指導する:ある目的に向かって教え導く
さて、この3つ。
どれも期待していることは同じだと思います。
子ども、生徒、部下、身近な人へ向け相手の成長を促すために用いています。
ある時は怒り、ある時は叱り、ある時は指導します。
(自分の感情を相手にぶつけ、はけ口にした怒りは論外です)
成長を促すための手段であるならば良い悪いはありません。
方法がちがうだけなのですから。
しかし、「相手の心に届くかどうか」
この観点を加えるとちがいが見えてきます。
決定的なちがい。
それは「時制」です。
焦点があたっている時制の取り扱いがちがいます。
怒るも叱るもやったこと(過去)について語り合います。
「反省文」に象徴されるように過去の過ちを悔いている。
すなわち、過去と現在を取り扱っています。
未来については「これからは気をつけろよ」の一言のみ。
一方、指導は「ある目的に向かって教え導く」ので主に未来を取り扱います。
○○を取り扱えばやる気を引き出す指導ができる
すでに終わってしまった過ぎ去りし事柄をいつまでもグチグチこねくり回されると不快になりどんどん落ち込みやる気を失います。
自己肯定感を低下させ自己否定に陥ります。
私たちは未来に続く話に魅力的を感じます。
失敗を糧にやる気を出してほしいなら過去より未来に目を向ける指導をすべきなのです。
効果的な指導法は主に未来を取り扱うことです。
過去は問題分析のみに留め、問題解決法や改善のために今日からできる具体策を話し合うことです。
おとなは失敗した人を謝らせたがります。
「すみませんでした。これからは気をつけます」にはなんの意味もありません。
うわべだけで具体性もありません。
謝らせることに執着して教育本来の目的を見失わないことが肝要です。
コーチングスキルで信頼関係を構築する方法
コーチが使う言葉の多くは肯定語です。
「そんなの無理じゃないの」ではなくて「どうすればできるのか」です。
「何が不安か」ではなくて「どうなっていたら良いか」です。
私たちの日常には否定語であふれています。
否定語はインパクトがありますから否定語を使うといかにも指導した気分になります。
しかし、脳は否定語によってやる気を失います。
それは、脳が不快だと感じるからです。
脳は肯定的な言葉を受け入れます。
快だからです。
生徒に対して日頃から使う言葉が肯定的であるか否か。
信頼関係には肯定的な言葉が必要なのです。
いじめの問題を扱うときにも教師と生徒との信頼関係がとても重要になります。
指導方法と生徒との信頼構築には密接な関係があることを踏まえ信頼関係を築き効果的な生徒指導が実施されるべく言葉の正しい使い方をマスターしてください。
※NGワードを知って生徒から信頼をえる聴き方
この項目については別記事にて紹介します。
次回の研修では
「やる気を引き出す質問トレーニングと肯定文作成トレーニング」
をやりたいと思います。