ここの実保育園 子育て研修講座 対象:保護者
講師:ドクターフキコ(小林富貴子)
乳幼児期の脳に必要なのは知識より○○
脳のシナプスの約80%が生後から3歳までに形成されます。
その時期に脳に必要な刺激は知識ではありません。
ニューロンの先にあるシナプスを伸ばす信号は感覚器官の刺激によるからです。
いわゆる五感(味覚、聴覚、視覚、嗅覚、触覚)に適度な刺激を与えることこそが脳や体の成長発達の重要な基礎となります。
大人を対象とした実験なのですが、手指の触覚は大脳に直結していると考えられる結果が出ています。
フワフワした気持ちよいものを触ってからお願いした事は受け入れてもらいやすかった。
ゴワゴワザラついているものを触ってからお願いしたことは拒否される率がフワフワに比べて高かった。
という結果があります。
このことから、手指感覚は思考や行動に影響を与えていると考えられます。
もちろん、手指感覚だけではなく音や匂い。
人の話声や音楽。色や形。味や舌触りなどなどありとあらゆる多くの経験で得た情報を脳は記録します。
こうして、乳児期の脳では新しいニューロンが増殖して急激に脳が成長している状態なのです。
早期幼児教育において単語や国の名前を覚えさせたり計算させたり、知識を増やそうとすることは悪いことではありません。
子どもにとって楽しい体験であればなんら問題はありません。
知識とは記憶してそれを取り出して活用することが知識なのです。
だから、知識を取得して記憶を保持し定着させることが必要になるわけです。
乳児期も記憶システムを使って自分の周りのことを理解したりするようになりますが、幼児期健忘といわれるように記憶をしっかりとどめておくという仕組みがまだ未熟なために忘れるのも早いのです。
幼児期の記憶システムを水切りざるに例えると、網目が大きくてほとんどが流れ出てしまう。
一方、おとなのざるは網目が細かいために記憶が残りやすいと説明することができます。
語りかけのちがいで反応は変わる
幼児期は日常のさまざまな経験から感情発達が促されます。
人との関わりから気づいて自分との調整をしていきます。
うれしいことがあったらどのような振る舞いをするか、嫌なことがあったらどう処理するかを日々習得していきます。
そのさいにおとなの関わり方が重要になるため育児にコーチングを用いることで良好な効果が現れています。
子どもがネガティブな感情表現やネガティブな行動をしたとき一般的な語りかけは
「なんで(どうして)こんなことしたの?」
日常的に使っているごく普通の会話です。
私たちは無意識に使っている言葉です。
今回みなさんに提案する語りかけは
「どうしたのかおしえて」と、説明を求める直接的な語りかけです。
さて、何がどうちがうのでしょう。
あなたが子どもならどちらが良いですか?
「なんで」や「どうして」の質問にはネガティブな感情が含まれています。
多少なりともとがめる気持ちがあればそれは子どもに伝わります。
子どもは怒られたと感じると萎縮しその場をのがれようとします。
言い訳を言ったり、泣いたり。かんしゃくを起こすこともあるでしょう。
お互い不愉快になりバトルが始まります。
相手にネガティブを投げるとネガティブが返って来るのは法則です。
今回提案する「おしえてほしい」
親が落ち着いてニュートラルな気持ちで説明を求めると、子どもも落ち着いてそれに対応することができます。
優秀な人たちに共通する家庭での脳トレ
説明するためには脳をフル稼働させなければなりません。
自分の言動を振り返る作業が必要です。
相手と自分の振る舞いについても分析します。
そして、それらを統合して自分なりの見解を伝える。
これは脳の作業としてはかなり高度なものです。
4、5歳からこのようなトレーニングをすることで日常的に脳を鍛えることができます。
説明させるという脳のトレーニングはネガティブな事柄の時だけではありません。
「今日はどんなことしてきたの、おしえて」
「この絵本はどんなおはなしなの、おしえて」
ぜひ、試してみてください。
これまで以上に子どもとの関係がしっかりします。
考える力が育つ、伝える力も育つ
毎日の生活の中で自然に教育的な関わりができます。
魔法の語りかけを子育てに取り入れて成長を楽しんでください。